アスベストと中皮腫と抗がん剤の種類

アスベストと中皮腫と抗がん剤の種類

私は悪性腹膜中皮腫という希少がん

に罹患し手術をした。追加治療の抗がん剤治療は行わず、経過観察を選択した。初期は週一回、それが月一CT、半年に一度PET検査

一年ほど前からCTはその日に結果がわかるようになり、1回の通院で終わるので助かるが、それまで検査日と診察日が別で2回通院が必要だった。

CTもPETも、私が通院している病院は、がん拠点病院なので、ぶっちゃけちゃえば皆「がん患者」、だが検査待合室にいる私と同年代の人は「付き添い側」であり「患者本人」であることが少ない。一人で検査待合室に入室する私は目立つようでジロジロ眺められる(汗)。うーんあの視線、今も苦手である。

検査結果を聞く日

必ず母が付き添った。これまた、理由が「私と一緒なら、あなたががん患者だとは誰も思わないでしょ?どう考えても私と思うじゃない?」という斜め上の返答。

きっと、視線の種類はこういうことなのかな。

悪性腹膜中皮腫

年々中皮腫(ちゅうひしゅ)の患者が増えているようだが、希少がんと呼ばれる通り、患者の絶対数が少ない。胸膜(中皮腫患者全体の90%)、腹膜、心膜、精巣漿膜、の順に珍しい病気度が上がるのだ。

中皮腫は「中皮」細胞から発生する「がん」。

アスベスト(石綿)を吸い込んだことが原因で誘発されるがんと言われている。

がんの種類の中で、最も「痛み」のコントロールが困難な癌、だとも先生は言っていた。

手術できれば良いのだろうが、胸膜なら肺をとるリスク、それ以外の部位に関しては、手術できる可能性が低い。

そして、膜に発生するがんなので、体内の膜を剥がし切る事は、厳しい。自覚症状がなく、気がついたときには中皮腫が大きくなっている、なんて事は珍しくないとも言っていた。

状態によっては、発覚から、死に至るまでも早ければ二ヶ月。抗がん剤の投薬治療も「治る」のではなく「がんに大人しくしてもらい、生きる日数を伸ばす」ためなのだ。

このがんの厄介な事は

治療方法が確率していない。病院に行っても、先生が「中皮腫」患者に会った事が少なく「初めてだよ」なんてことも珍しくない病気。先生が病気の知識を持っていないので、こちらが尋ねても打てば響くように返答は難しい。

手術ができなければ、抗がん剤一択となる。一応、ファーストラインはある。7年前はセカンドラインは、腹膜に関しては、あやふやで、無いも同然だった。ファーストラインがダメなら、次に使える抗がん剤の種類は極小。(奏功もね)

2018年から、胸膜中皮腫の人には

オブジーボが保険適用になったが、腹膜、心膜、精巣漿膜は使用できない。同じ中皮腫でも保険適用にならない。

じゃあ、胸膜の人にオブジーボが使用できるから良いじゃないか、それは早合点なのだ。効果のある人とない人、はっきり分かれる。効かなければ、アレルギー反応が出れば、やはりその次の使える抗がん剤の種類が少ないがんに変わりはないのだ。

そして、「寛解(全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること)」を維持するのが困難である。常に再発と増殖の恐怖がついてまわる。

そして、私の場合

どこで吸い込んだのかわからない

思いつく限りだと、幼い頃ベビーパウダーを使っていた、父の作業着と布おむつを一緒に洗濯していた(造船所に仕事でよく行っていたのだ)、小学校の校舎の建て替えがあった、勤務先の建物かも。

過去、ベビーパウダーの原料、滑石に不純物として石綿が混入していた。船にアスベストが吹き付けられていた。もしかしたら団地に、校舎に、勤務先に、アスベストが使用されていたのかも。

どれも「かも」、可能性の話であって、暴露したと確信できるものがわからないのである。アスベストは20〜40年の歳月をかけ体内に留まり、ある日突然、中皮腫という悪性腫瘍になり、体を蝕んでいくのだ

知識としては知っていた

アスベストは人体に害を与える、しかし危険を知っていながら日本は使用を禁止するのが遅過ぎた、そういう病だと。

まさか、自分の体内にアスベストがあり、それが原因でがんになるとは全く考えたこともなかった。将来がんになる可能性はあるだろう、それは親戚や友達の話を聞いていて、なんとなく思う事はあった。

しかし、アスベスト、石綿、中皮腫、希少がん、これに関しては、全く思いもよらなかった。

手術してからの1年間は

毎日「死」の恐怖がつきまとい、検査結果を聞く日は生まれたての小鹿だった。めっちゃ怖い…

この病気が一番辛いという「ナンバーワン」はないと思っている。

病気になった事、それが自分にとって「ナンバーワン」に辛い出来事なのだ。

全ての人の病気、人生に起きる「まさか」、に対して、全てそうだと思っている。

辛さを図る天秤なんて存在しない。もし存在するという人がいるのなら、気の毒だが愚かな人だ。

私もビビリだから

目を背けて病気を知らんぷりするかのように、生きてみたけど、まぁ、それは無理だったね。なので、ちゃんと病気と向き合い、きちんと学び、手札が増やせるのか、それをきちんと知りたい、やっとそう思うようになった。

オブジーボ、中皮腫の人全員に

保険適応になったら、使えるレアカードが一枚増えるんだよね。手札に一枚加わったらいいなぁ、レアカード。

今日は、ちょっとアスベストは怖い、そして無関係と思っていた人でも罹患するって事を、知ってもらえたら、と思って病編綴ってみました。

今日は暖かかったなぁ。

この世に存在する、「心痛む思い」がすこしでも優しい愛に触れ、少しでも癒されますように。切なる願いをこめて…

ブログで記載している情報は、今から7年程前の古いものです。医療に関する知識も素人です、あくまで参考の一つとして、ご覧いただききたく存じます。治療に関して、考えや医師の判断は、あくまでも「私の身体」の情報に過ぎません。人の個性が十人十色なのと同様に、病状についても十人十色です。ですので、やはり主治医の先生に相談されるのが優先すべき事と考えております。

*アスベストに関係する全ての団体・患者会・家族会には属しておりません*今後も属しません*全て個人発信です*

by 中皮腫患者 mochi