毒親とアスベスト、私の心身を浸していく「毒」

毒親とアスベスト、私の心身を浸していく「毒」

悪性腹膜中皮腫、希少がん、アスベスト(石綿)、がん拠点病院、

全てのワードが自分には関係のない言葉だと、たかを括っていた。

仕事が忙しすぎて新婚旅行前に血尿が出て十二指腸潰瘍になったこと、出産前に子どもの心拍が確認できず1週間入院し寝たきりで過ごしたこと、

それを除けば、健康診断で引っかかることもなく、生理痛が重いくらいしか、健康について不安を感じたことはなかった。(告知の日について、詳しくは↓から)

おかしいなあと思った診察の順番

「思いもよらなかった」事は

いつでも思いつきもしないタイミングで唐突にやってくるのだろう。きっとそういうものだ。

ただ、心の準備が…、いや誰でもきっと同じだろう。

心の準備が出来ていないから、事実を受け止められず、私は家から一歩の出られなくなったのだし、どうしても最低最悪のバッドエンドしか描けなった。

何よりも一番思ったのは、ことが重大すぎて「消えてしまいたかった」。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

人魚姫が思い浮かんだ。

人魚姫は人間になるために足を手に入れたが、歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じるのだ、声を失い、そこまでして手に入れたかった幸せが叶わず、最後は泡になって消える。

私も今まさにナイフで抉られるような痛みに耐え歩いているのだ。この痛みを捨てるには…病と向き合う勇気がないのなら、泡になって消えてしまえばいい。

パンドラの箱が開き、災いは全て出尽くしたはずだったのに、まだ私の人生に試練があったのだ。

1歩も外に出られなくなった私の家に、母が心配して訪ねてくる

慰めてくれているつもりなのだろう。「辛いわよね、大丈夫よ、私も一緒。私も老後を諦めるから、あなたも頑張って」と背中をさすり、泣くのだ。

一体この人は何を言っているのだろう?

私の子どもたちはまだ中学生と小学生なのだ。

これからやってくる人生の節目であろう、成人式、就職祝い、結婚、孫、なんなら自分の還暦も…あなた(毒母)が経験してきた「幸せ」を、私は諦めなければいけないかもしれないと言うのに。

私のこれからの時間と、あなたの老後の心配が「同じ重み」だというのだろうか。

わかっている、下をみればキリがなく、上もまた然り

そんなことはわかっている。なんなら結婚し二人の子どもに恵まれただけでも幸せなことだ、それは痛い程わかっている。

そして、病気になった現実は、消し去ることも逃れる事もできない、どうしようもなく私自身の身に起こった事実なのだ。

だけどね、母親の言う「老後を諦めるから、あなたも頑張って」はあまりにも酷な慰めである。いや慰めにもならない、ただの残酷な宣告だ。

さらに残酷な言葉が続く

「いい?病気のこと誰にも言っちゃダメよ。がんなんて言ったら、みんなが哀れむから。あの人は娘さんがそばに住んでいても、老後は一人残されて可哀想ね、って言われるから」と。

母は、父は、私にどこまで「我慢」を強いるのだろう。

兄の件も飲み込んだ。その上、病気になったことも、親に申し訳なさを感じ「ごめんね」と謝らなければならなく、誰にも相談するな、と。

親と夫以外、誰にも病気を知られてはならない。毒親って言葉、ぴったりだよね、本当にうまいこと言うよな。(兄の件、こちらからどうぞ↓)

パンドラの箱の中身が開いた、あの日

人の心を何度踏みにじれば

あの人たち(毒親)は、私がいて幸せだと満足するのだろう。

そして、私はなぜこんな思いをしてまで、なお、親の顔色を伺い、ご機嫌を取ろうとしているのか。あまりにも「囲い」の中に長く住み続け、視野が狭く、俯瞰で物事を見ることができなかったからだ。

アスベストも両親も、なぜ私の心身を「毒」で満たしていくのだろう。

満たされるのは「愛」がいい。優しく平和な世界がいい。

何から手をつけていけば、私は私の人生を、母の言うように「諦め」られるのだろう、ああ、泡になって消えてしまいたい。

ここから、浮上するまで、

いくつもの病院を廻り、手術を受け、今後の方向を決め、きちんと向き合い、病気である事を封印するまで、まだあと一年。

一度染み込んだ「毒」は消えてはくれなかった。ざっくりと結果を述べればそう言うこと。悪性腫瘍も、毒親も、実際に消え去りはしなかった。

だけど、やっとだ。親と絶縁して3年。

私は私の病名をやっと親しい人に話せるようになった。だっていつどうなるのか誰もわからない、世界とはそういうルール。

その中で皆生きている。会えるうちに、会いたい人と、話したい話をし、また明日へと向き合う力を貰う時間を、何人たりとも奪うことは許されてはならないのだ。

それが親なら尚更だ。

父よ、母よ、あなたたちが言っていたいつかの言葉

「子どものためなら命を捨てられる」って覚えてる?

私ね、初めて我が子を腕に抱いたとき「絶対にこの子を残して先に死んではいけない」って思ったよ。その気持ちは、今も心に灯って消えてないよ。

だって、本当に「困った」時、真っ先に助けたいじゃん。可愛い我が子だよ?

これこそ唯一無二の、かけがえの無い、死ぬ気で守りたい大切な命だもん。「いざ」って時、そっとさ、カッコよくスマートに、手を差し出したいじゃん。

親ってさ、そういうもんじゃない?

*アスベストに関係する全ての団体・患者会・家族会には属しておりません*今後も属しません*全て個人発信です*

by 毒親育ち&中皮腫患者 mochi