毒母、ガチ勢のせっかちが過ぎる件

毒母、ガチ勢のせっかちが過ぎる件

家族で外食、楽しいイメージ。

幼い頃、そもそも外食する店が近くになかった。

中学のころ、セブンイレブンが車で20分ほどの場所にでき、24時間営業ではないものの、学校で大騒ぎになった

ファミレスもなかったし、ファストフードは電車で二駅先にしかなかった立地。

だから個人営業の、お寿司屋、焼き鳥屋、小料理屋、鉄板焼き屋、このどれかと、外食先は決まっていた(待たされたり、料理が遅いことのない程度の広さと混み具合)。

祖父母宅は、近くにコンビニがあり、

徒歩でマクドナルドもファミレスも行ける立地、休みに泊まりに行っていたからもちろん知っている。

祖父母宅に引越し、同居をしてからの母は、好んで外食に誘うようになる。夕食後「パフェ食べにいかない?」とか、土曜のお昼にファミレスランチとか。

誘う理由は「愚痴」聞き要員。

祖父母に聞かれたくない、祖父母や父の愚痴を聞いてもらうため。

食べ盛り、新しいメニューも試したいお年頃、愚痴は面倒だけど好きなものを食べられるから、部屋にきて延々話されるより断然よかった

いつの頃だ?母がガチ勢のせっかちだとわかったのは。

とにかく待てない。

まず、並ぶ店はアウト。座席の間隔の狭い店舗もだめ。写真のメニューのない店も好まない。

出先で外食をする時、とにかく店が決まらない。私はどこでも平気なのだが、母が気に入る店を決めるまで大袈裟ではなく小一時間は、街をさまようのだ。

決まったとホッとしてはいけない、店に入り座ってメニューを開く前に「ねぇ、ここガヤガヤうるさくない?やっぱり出よう」なんで序の口。

私もお酒が飲める年齢になり、

母が決めた店で店員さんに「ねぇ。私ビールだけ飲むのは苦手だから、すぐに出てくるおつまみはどれ?」とかなりの頻度で聞くようになる。

ビールが先でつまみが数分遅れると、店員を呼び「すぐに出てくるメニューって言ったじゃない。だから注文してるのに、早くしてよ!」と責め口調、

逆につまみが先でビールが後だと、やはり店員を呼び「ねぇ、ビールぐらいさっさと出ないの?つまみがなくなるじゃない!」これもまだまだ

最悪は「もういいわ、すぐ

と注文しているのに出てこないから、帰るわ!」と、ビールの乗ったお盆を持った店員に怒鳴りつけ、支払いをせずに店を出る

もっと最悪は、父も一緒の場合「だめじゃないか、客の注文に答えられないなんて。ビールとつまみくらいさっさと出せるだろう、なってないなぁ」と嫌味を効かせた声で加勢する事

恥ずかしかったなぁ、両親共に数分が待てないことが。

孫も連れ食事に行くようになっても、

とにかく「店が決まらない」、母のお気に召すお店が見つかるまで、お腹を空かせた子どもたちを連れ、

酷い時は車で移動し、3時間もさまよったこともある。子どもも私もお腹空きすぎてもうなんでもいいから「食べたい」しか浮かばない苦行タイム。

でもそこで母に余計な事を

言ってはならない。

「ここでいいんじゃない?」と決めて母が折れる形で食べた店は、必ず「値段の割りにいまいちだったわね」と、帰宅するまで事あるごとに、蒸し返される

心の中で「ねえ、まだー?もうここでいいじゃん」と文句をいいながら、笑顔で母の店選びに付き合うのがベター

1度など、母と二人デパートで

食事をした時、店員さんが水かアイスティーかな?グラスを倒し私のジーンズの悩ましい所にかかってしまったのだ。

確か夏だったし、安いジーンズだし、バックで隠していればそのうち乾くだろう、笑顔で「大丈夫ですよー」の「よー」あたりで母が怒り言葉を被せてきた

不注意ではすまない、娘にこのジーンズで帰れっていう対応なの?店長さんは?話にならないわ、デパートの話のわかる人を今すぐ呼びなさい!

平謝りのお店の人、ピキッピキにキレてる母、飛んできた腰の低そうな多分デパートの偉い人

恥ずかしいモーレツに恥ずかしい、

だって母がさっきから叫んでいるのは、私のジーンズの濡れた「場所」についてなのだ。

あれよあれよとデパートのジーンズ売り場へ連れて行かれ、絶対自分では選ばないお値段の定価のリーバイス&ちゃっちゃと裾上げ、

そしてちょろっとしか濡れていないTシャツも小洒落たブラウスに、

デパートの偉い人と母で勝手に話がまとまり、お昼代もお高いリーバイスも小洒落たブラウスもタダとなった。

母は鼻高々に「これが大人の交渉なのよ、私と一緒の時でよかったでしょ?」と、褒めてと言わんばかりの達成感に満ち満ちていた。

むーん。これを

クレーマーと呼ぶのでは?(ちなみに当時はクレーマーという言葉は浸透していなかった)

母は「新規開拓」を嫌う、知っているお店が良いのだ、だから旅行先では迷って決められず、かと言って妥協も出来ず、孫を引き連れ街を行ったりきたりだ。

今となっては懐かしい思い出だ。

時々子どもたちがいう、「おばあちゃんと出かけるとご飯食べるまで時間かかるんだよねー」って。うん、そうだったね(笑)。

夫も私も子ども①も接客業の経験があるから、母や父のような態度は取れない。注文が遅かったら普通に確かめればいいだけなのだ。

なにも初めからフルスロットル、やる気満々で呼びつけなくても。

人間ですからね、うっかりすることもあるのですよ。

by 毒親育ちmochi